逆転地球 「クオリア問題」でよく語られる 【 「赤」がAさんには「青」に見えていて Bさんには「黄色」に見えていたとします そこで、AさんとBさんに 青・赤・黄色の3つの色を示して 「さて、このうち赤はどれですか?」と問います Aさんは、青に見えている色を、赤だと信じていて Bさんは、黄色に見えている色を、赤だと信じているので Aさんは、青に見えている色(=赤)を指し Bさんは、黄色に見えている色(=赤)を指す 結局、2人とも赤を指す だから我々が、別の色を「赤」だと信じていたとしても 会話がちゃんと成立してしまう といった話です 信号は「青が進め・赤が止れ」と教わります Aさんには青が赤、赤が青に見えていたとします Aさんは「赤が止れ」と教わったとき 赤を青と思い込んでいるわけだから、青のときに止まる でもその青は本当は赤だから、なんの支障もない ということです 】 この話は 「逆転のクオリア」と呼ばれます 前述の「中国人民」(中国脳)を提唱した ネッド・ブロック(1942~)というアメリカの心の哲学者は 「逆転のクオリア」をもとに 「逆転地球」なんていうクオリアが逆転した世界を提示しています 「逆転地球」というのは 地球とそっくりな星なのですが 「青」と「赤」が逆転していて、 空や海が、赤で 血液や消防車の色が、青の世界です そしてそこに住む人間は 「赤」を「青」と呼び、「青」を「赤」と呼ぶという話です 「逆転地球」が言いたいことは 機能主義では 「私は赤を見ている」という自分の知覚(赤)を 「私は赤を見ている」と語る クオリアの逆転した他者の知覚(青)と 同じものと考える しかし、二人の知覚は異なっている だから機能主義は間違っている ということのようです 「水槽の脳」の場合は 情報を、脳に伝えるシステム(仕組み)が 五官(感覚器官)であるか、コンピューターであるか の違いにすぎないということを明かしました 「逆転のクオリア」「逆転地球」というのも同じです 情報を、脳に伝える五官の構造の差 あるいは脳自体の構造の差 による話にすぎないと言えます 「逆転のクオリア」「逆転地球」において 物理主義・機能主義を超越した知覚(クオリア) 物理的・化学的・電気的な反応を超越した知覚(クオリア) の存在なんかは示されていません それから、機能主義とは 材料が神経細胞ではなく バネと歯車で構成された機械であっても 人間の脳の機能を忠実に再現すれば 脳と同じように「喜び」「痛み」とかいった「心」を持つという考え だとすると 100%まったく同じにつくられた 人工知能の場合 みなが「赤」を「赤」と認識します 逆に一部に、違いがあると その人口知能は 「赤」を「青」と認識する場合だってあるということになります これを人間にあてはめた場合 色覚異常(色盲・色弱)がそうであるように 感覚器官や脳の構造や機能に、違いがあれば 「赤」を「青」と認識する場合だってあるということになります つまり「逆転のクオリア」「逆転地球」というのは 機能主義の誤りを指摘したどころか 機能主義の正当性を説明しているにすぎないわけです 【 アンノウン 編 】 機能主義はすでに成立している 水槽の脳 (ひとつ戻る) |
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