主体とはなに? ③ 和辻哲郎 和辻哲郎〔わつじてつろう・ 1889(明治22)~1960年(昭和35)〕は 「風土論」で知られる日本の哲学者です 彼の思想の中心は「構造主義」とほぼ同じで 主体に先立ち、主体を規定する「風土」があるというものです 【 構造主義とは、個人が所属する構造 (国家・民族・歴史・言語・文化・伝統・生活様式・社会階層など)が 人間の主体性や意識(思考活動)に先行するという立場 】 和辻によると ≪ 愛犬が冬の川に落ちた時 私は助けることに必死で、寒さなど感じている余裕などない → 私の志向は完全に犬に向いていて 外気に向いていないからである → 寒さを感じるには、私の志向と 外気という客体的な事物との間に関係性がなければならない → 客体的な事物は、実体的に存在しているのではなく 主体との関係の中にのみ存在しているのである ≫ これは、一見、おもしろいですが 和辻の「志向」とは、欲求そのものであり それによって、存在しうるのは 事物という存在(客体)そのものではなく 事物という存在についての「価値」(必要性)ですよ(笑) なお、彼の哲学全般は この話を根拠として展開されているわけですから およそのレベルが伺い知れるというものです 和辻の哲学の土台は 結局、事実(真理)・認識の判断と 価値・感情判断とをごっちゃにしている ところからのものですが のちに書きますが ≪心の哲学≫の根幹を支えている 「意識の二面性」も「説明のギャップ」も 「意識のハードプロブレム」もそうなのです 愛犬がおぼれているというのは事実判断であって それに対して「是」「非」 さらに「こうしたい」とか「あーしよう」 といった価値・感情判断が生じるのです 事実判断は、愛犬という客体がなければ成り立ちませんよ(笑) 主体とはなに? ④ ![]() 主体とはなに? ①~② (ひとつ戻る) |
|