性質二元論 心の哲学者には 「中立一元論」 〔意識を物理的でも心的でもない中間的なものに求める〕 という考えもあり チャーマーズはこの立場にあり その上で 「随伴現象説」には好意的な見方をしているようです 「中立一元論」は 「性質二元論」といいう立場とほぼ同じとされます 「性質二元論」とは 随伴現象説が、2つの実体を考えるのに対して ≪意識の世界には、2つの実体があるのではなく 実体は1つで、物理的実体と精神的実体は根本的には一緒 但し、この実体に、物理的側面と 精神的側面という2つの性質をもっている≫ というものです こちらは、随伴現象説よりもさらに唯物論に近い(笑) 唯物論とほとんど差がない(笑) この時点で、「心の哲学」が 学者がご飯を食べていくためにこしらえたものであることが明白です この立場の代表的な人物が アメリカの心の哲学者 ジョン・サール(1932~・言語哲学者)です 性質二元論においては 心は、脳より「創発」される ゆえに、心は、既存の物理法則に還元できない と考えます 「創発」とは、物理学、生物学、情報科学 社会学、経営学など幅広い分野で用いられる言葉ですが 共通する意味は ≪個別要素の相互作用によって 予期しなかった特性が、全体に現れること≫ です 心の哲学においては 個々の神経細胞の相互作用により 個々の振る舞いの総和にとどまらない現象が 脳全体の振る舞い=意識(心) として現れている ことを意味しています 要するに、心は 脳全体のネットワーク機構より生じている というあたりまえの考えです ちなみに、脳の一つ一つの神経細胞は 比較的単純な振る舞いをしていることが分かってきているそうです 性質二元論は、意識(心)という創発特性は 物質の性質に、還元できないとしています それでは「随伴現象説」と一緒でしょ という話になりますが 性質二元論(創発説)の立場は あくまで一元論であるということです 全ての事象は、物理学に還元できないとして 物理学の完全性を否定しつつ 物理主義的な一元論を擁護する立場にあるわけです 性質二元論をまとめると 1、心(意識)は、脳より「創発」される 2、意識の世界には、2つの実体があるのではなく 実体は1つで、物理的実体と精神的実体は根本的には一緒 3、但し、この実体に、物理的側面と 精神的側面という2つの性質をもっている ということです なお、物理主義とは、物理学が進歩していけば 心についても、物理学の言葉(物理式)で説明できると考える立場です 物理主義=唯物論と、心の哲学では考えます しかし、唯物論とは、本来、心(意識)は 脳という高度に発達した物質より、派生的に存在するもの と考える立場です 「性質二元論」というのは 「心」を、脳より「創発」される実体 しかし、脳と独立して存在する別の実体とは考ない という立場なわけですから 性質二元論は、唯物論と全く一緒というしかありません 唯物論が ある種の「痛みの感覚」は ある種の「脳の現象」としておきていると考えるのに対し 性質二元論は これを、同一の実体の二つの側面、コインの表裏である とみなす といった考えだ なんて話をたてまえにしていますが(笑) 心が生まれる仕組み 随伴現象説と現象判断のパラドックス (ひとつ戻る) |
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