マリーの部屋 チャーマーズと同じオーストラリア出身の 哲学者 フランク・ジャクソン(1943~)は 「マリーの部屋」という思考実験を提唱しています 白黒の部屋で生まれ育ち この部屋から出たことのないマリーという女性は 「色」というものを一度も見たことがない マリーは白黒の本を読み 白黒のテレビを通して世界中の出来事を学んでいる また、光の特性、眼球の構造、網膜の仕組み どういう時に人が「赤い」という言葉を使うのかなど マリーは視覚に関する全ての物理的事実を知っている さて、彼女が白黒の部屋から解放されたとき あるいはカラーテレビになったとき、つまり初めて色を見たとき 彼女は何か新しいことを学ぶだろうか? 色を経験することでマリーが何か新しいことを学ぶとしたら クオリア(経験による質感)が存在するということになる マリーが色を知覚するということについての 全ての科学的知識を持っていたとしても マリーが世界を見るという経験によって 新しいことを学ぶのは紛れもなく明らかである なぜなら、マリーは最初に赤い色を見るとき 「わぁ」と言うであろう 「わぁ」と言わせるのはやはりクオリアでなければならない そうであれば、彼女の以前の知識(物理学の全ての知識)は 不完全だったと言わざるを得ない それゆえ、全ての物理情報で事足りると考える 物理主義は「偽」である という話です マリーの部屋というのは 青い海を見ているときの神経状態には 青い海を見て、感動している 心的現象が描かれていない 物理的記述と心的記述には 大きなギャップ(説明のギャップという)がある という問題を浮き彫りにし 物理主義は、クオリアを無視している と主張したものとされています 随伴現象説と現象判断のパラドックス クオリア (ひとつ戻る) |
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