現在主流の「心の哲学」の嘘を暴く!! 中国人の部屋



 心と存在


「心の哲学」の嘘を暴く!!


 




心の哲学における対立と
中国人の部屋




ここまで読むと、「心の哲学」とは

物理主義を否定する考えなのかと思いきや

物理主義的な「心の哲学」もあるのです



「心の哲学」には、現象意識(心)は

「既存の物理学の法則の中に還元できる」

と考える物理主義的立場と


「そうした還元は出来ない」と考える

二元論的立場の間で


激しい論争が繰り広げられているのです



前者の代表が、ダニエル・デネット

後者が、デイヴィッド・チャーマーズや、ジョン・サールです






アメリカの心の哲学者 ジョン・サール(1932~・言語哲学者)は

「中国語の部屋」という思考実験によって

機能主義を否定しています




●  機能主義


材料が神経細胞ではなく

バネと歯車で構成された機械であっても

人間の脳の機能を忠実に再現すれば

脳と同じように「喜び」「痛み」とかいった「心」を持つという考え


「心」とは物質の機能的役割であるとする立場

物理主義の1つ





「中国語の部屋」とは、


アルファベットしか理解できない英国人を部屋に閉じこめておく

この部屋には小さい穴がひとつ空いている


その穴から一枚の紙が差し入れられる

その紙には彼が見たこともない漢字が並んでいる


この英国人の仕事は、部屋に置かれている

1冊のマニュアル本に従って作業をすることで


マニュアルには、紙に「○×△□」(中国語)と書かれていたら

「▼☆◎」(中国語)と書き足して外へ出せ などといった

作業についての指示が書かれている


彼はこの作業をただ繰り返す



外にいる人は「この小部屋の中の人は、中国語を理解している」

「部屋の中の人と中国語による対話が成立している」と考える


しかし部屋の中の英国人は、全く漢字が読めず

作業の意味も全く理解しないまま

ただマニュアルどおりの作業を繰り返しているだけである





この「中国人の部屋」の言いたいことは

コンピューターが「計算」することと

「意味を理解」することとは別である

ということであり



ゆえに、機能主義は「偽」であり

強い人工知能〔特定の問題解決を行う弱い人工知能に対し

何らかの自意識を持った人間の知能に迫るような知的能力〕

を有するコンピューターを製作することは不可能である

といった話です





しかし、英国人が、マニュアルに書かれている

文字や内容を、理解しているからこそ


「○×△□」(りんご)と書かれていたら

「赤」の紙を、外に出したり


「▼☆◎」(レモン)と書かれていたら

「黄色」の紙を、外に出したりできるわけで


結局、人間の「脳」というか「心」(意識)と

システム的には同じでしょ という話になりますよ(笑)






サールの「中国人の部屋」と同様な話に

ネッド・ブロック(1942~)という

アメリカの心の哲学者の

「中国人民」(中国脳)という思考実験があります



中国人民が、十数億いるなら

人間の脳において

何十億ものニューロン(神経細胞)が行っていることを

中国人にリレーとして行わせたとき

そのリレーに、現象的意識は生じるのか?

という話です




1、中国人全員に携帯電話を渡す


2、一人一人に連絡先の電話番号が書かれたリストを渡す


3、自分のケータイが鳴ったら

リストにある番号すべてに電話をかけてもらう


4、この作業を、中国人全員に延々とやり続けてもらう


このとき、この巨大な携帯電話ネットワークに

意識(心)はあるだろうか? という話で


「リレー自体に現象的意識が生じるわけがない」→

機能主義は「偽」である というものです




心の哲学の「物理主義は偽」の証明のレベルというのが

この程度のものということなのです







これに対し

ダニエル・デネット(1942~。アメリカの哲学者)は

「機械が知能や精神を伴ったとき

人間という機械が特権的な立場でいられるだろうか」

と反論しています



チャーマーズの立場を

「第一者によって主観にしか接近できないクオリアのような概念は

意識の科学的な解明には障害」として批判います




彼によると

コンピーターゲームにおいては、単純な法則に従って

生滅を繰り返す図形が集まると

ときに複雑で予測不能なパターンが生み出される


同じように、人間の「心」も物理的な法則に従っているが

自由意志(複雑で予測不能なパターン)という

余地を見出すことが可能である


なので、人工知能が、いずれ意識を持つことも

不可能ではない といいます




さらに、デネットは

「人間の意識ばかりでなく

進化のプロセスもこれにあてはまり

単純な規則の集合によって

多様な生物種が作り出されたのではないか」

と唱えているそうです





こうしたデネットの考えに対して

チャーマーズや、ジョン・サールは

「デネットの考えでは、意識の本質である主観性に迫ることができない」

と批判しています




ちなみにデネットは

意識(心)と、物理的・神経的なプロセス(身体、脳)を

異なる次元のものとして考える

デカルト以来の「心身二元論」という

哲学的伝統を覆そうとしているそうです




哲学的ゾンビ




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